絵を描くのが辛くなったら…それでも続ける意味とは? | 寺野彬秀

 こんにちは。絵を描くのが辛くなる時期って、本当につらいですよね。でも、なぜそんなに苦しいのかを掘り下げてみると、たとえば技術的な限界にぶつかっているのか、納期や評価を気にしすぎて心が疲れているのか、はたまた単純に休息が足りないだけなのか、案外はっきりした原因が見えてくることがあります。私も、締め切りに追われて絵を描いていたころは本来の「なぜ描きたいのか」という原点を見失ってしまい、まったく筆を握りたくなくなった経験がありました。そのとき思いきって数日まったく絵から離れてみたら、「ああ、やっぱり描きたいんだな」と自然に気づけたんです。

どうしても一人で抱え込んでしまう人は、同じように絵を描いている仲間や、クリエイターの友人と悩みを共有してみると意外とラクになるかもしれません。「完璧に仕上げたい」と思うほど苦しくなるなら、むしろ一部分だけでもうまくいったらいいや、というくらいの気持ちにフォーカスを変えてみるのもいいでしょう。SNSや周囲の評価ばかり考えると息苦しくなるときは、「そもそも自分はこの絵をなぜ描こうと思ったのか」を思い出してみると、意外と根っこにある“描きたい気持ち”を再発見できるものです。

もしずっと同じ技法やテーマばかりで飽きてしまったなら、思い切って新しい画材を試してみるとか、普段は描かないモチーフに挑戦してみるのもいい刺激になります。私も、ずっとアクリル画ばかり描いていた時期に一度水彩や色鉛筆に手を伸ばしてみたら、思わぬ楽しさを感じて、「こういう塗り方もできるんだ」と新鮮なモチベーションが戻ってきたんです。そして何より、描き続けた先で思わぬ形のチャンスや喜びが待っていることが、本当に多いと感じます。「もうやめたい」と思っていたところに、突然依頼や出会いが生まれる場合だってあるし、少しだけ手を動かしてみたら新しいアイデアがわいてきたり。やめてしまったら二度と手に入らないその瞬間のために、もうちょっとだけ筆を握ってみるというのも悪くないと思うんです。

結局、絵を描くのが辛くなっても描き続ける意味って、その先にしか見えない景色が必ずあるという確信に尽きるんじゃないでしょうか。辛いときはじっくり休んでもいいし、描きたくないなら一時的にペンを置いてしまってもいい。でも、「それでも少しはまだ描きたい気持ちが残ってるかもしれない」と思うなら、誰かに相談したり、新しい技法を試したり、完璧を目指さずちょっとだけ描いてみたりしてほしいなと。辛かったからこそ、あと一歩踏み出した先で思いがけない景色やチャンスが開けることは珍しくありません。私も何度か挫折寸前まで追い込まれましたが、続けていたからこそ得られた出会いや学びがありました。あなたにも、もしかすると同じような可能性が眠っているかもしれません。描くことをやめずにもう少しだけ続けてみると、いつか「あのとき踏みとどまってよかった」と思える日が来るんじゃないでしょうか。

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